2009年11月に読んだ本

久しぶりだ~!溜めちゃうと書くのが億劫になっちゃうものですね。(書き物に限らず何事もそうか)
でもこの読書メモは自分自身の役に立ってたりもするので、続けていきたいと思います。
でもでも、11月は試験勉強の反動でかなりの数を読み散らかしているので、記憶に残っているものだけをピックアップしておきます。

●テロル/ヤスミナ・カドラ(ハヤカワepiブック・プラネット)
●ほかならぬ人へ/白石一文(祥伝社)
●19分間/ジョディ・ピコー(イソラ文庫)
●ブラバン/津原泰水(新潮文庫)
●アムステルダム/イアン・マキューアン(新潮クレスト・ブックス)
●最終目的地/ピーター・キャメロン(新潮クレスト・ブックス)
●月野さんのギター/寒竹泉美(講談社Birth)
●単純な脳、複雑な「私」/池谷裕二(朝日出版社)
●知的幸福の技術-自由な人生のための40の物語/橘玲(幻冬舎)

上の4冊は既に別途レビュー(というか感想)を挙げているので省略。
ヤスミナ・カドラ氏は11月にBOOKUOKAのイベントで講演会のため来福されていました。かなり行きたかったんだけど、東京出張が入ってしまい泣く泣く諦めたのだった。氏の最新刊、『昼が夜に負うもの』もぜひ読んでみたいと思ってます。今年中には無理かも知れないけど。

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11月は愛する新潮クレスト・ブックスから2冊。

『最終目的地』はアメリカの作家、ピーター・キャメロンの長篇です。「英国古典小説の味わい」と色んなところで評されていたのでかなり楽しみにして読みましたが、よく考えると「英国古典小説」ってどんなのだ?ジェイン・オースティンみたいな?
自殺した作家の伝記を書きたい大学院生が、その許可を求めに南米ウルグアイの僻地にある作家の邸宅へやってくる。そこに暮らしているのは自殺した作家の妻(絵描き)と、その愛人+娘、作家の兄とその恋人(男)たち。大学院生がやってきたことで、不穏に静かだった彼らの生活に変化が起きる、という筋です。

基本、筆致がエレガント。ほどよい抑制と時折ふいに混じる感傷がうまい具合に好みです。
閉じた世界で限られた登場人物たちが生活しているんだけど、その閉塞感、行き止まりの人生、発展しようのない関係性、でも全員が持っている気品と意地のようなものがとてもうまく淡く浮かび上がる。
映画みたいな印象的なシーンがたくさん出てきて素敵だなあと思っていたら、やはり映画化されていた。
アダムがアンソニー・ホプキンス、その恋人ビートが真田広之。いいじゃん!ぴったり!観たいのだけど、日本では公開されていないみたい。残念だなあ・・・。

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『アムステルダム』はイギリスを代表する作家、イアン・マキューアンのブッカー賞受賞作です。
彼の名声は知っていたのだけど、作品は『黒い犬』『土曜日』しか読んだことがありません。でも、この2作がすごく読み応えのある作品だったのね。派手ではないのに引き込まれる文章と冷徹な視線。
ちょっと調べてみたら、デビュー後しばらくは挑戦的で前衛的な作品を多くものしたけれど、2000年代に入ってからは重厚でストイックな作品も多く発表しているとのこと。き、気になるなあ!
彼の代表作との言われる『愛のつづき』『贖罪』は未読です。『贖罪』は「つぐない」というタイトルで映画化もされているよね。文庫で出ているようだし、これは読まなくては!

で、『アムステルダム』です。本作は新潮クレスト・ブックスの中でもいちばん人気なんだって。
いいねえ、徹底して無機的な人物描写!乱れることのない淡々とつめたい文章!現代社会を生きる一応「成功者」の男たちの虚栄、矜持、いり乱れる思惑、それを貫く一種の虚無。そして皮肉たっぷりのラスト。
個人的には情緒があり感情がある“物語”が好きなのですが、彼の小説は読んじゃうよなあ。

新潮クレスト・ブックスへの愛が大きすぎる。長すぎた。

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『月野さんのギター』は、講談社Birthというレーベルで賞を受賞した知人の処女作です!
表紙に若干ひきながらも購入してみたいのですが、読みやすい文章にていねいな心理描写で好感度高く読みました。ああ、みんな恋をしている。恋だ恋。と思いながら(笑)
表紙とコピーで損してるんじゃないかという気もするんですが、さわやかな恋愛小説です。

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『単純な脳、複雑な「私」』は、脳科学に興味のある人は面白く読めるんじゃないでしょうか。
何度も何度も挫折して、最後は拾い読みのような有様に。最終的に、たぶん私は脳科学に興味がない、という結論に至りました。むしろ、何で私はこんなに興味がないんだろう、という部分に興味が出てきた。
「人間」に、「感じること」に、「考えること」にはすごく興味があるのに、脳に興味がないなんてな。

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『知的幸福の技術-自由な人生のための40の物語』は、なぜ買ったかというと、「ほんの少しの努力と工夫でお金持ちになって人生設計を再構築する方法」という帯に惹かれたからです。
私は「文学界」の住人として30年間生きてきたので、文学的なモノの見方や考え方が染み付いている。文学的とはすなわち、「物事を判断する絶対の基準やものさしがない」ということです。
例えばスポーツなら「強」、宗教なら「善」、科学なら「真」、政治なら「平等」(だと私は思っている)。そんな“善きもの”が世の中には世界別にたくさんあって、例えば「幸福」とか「健康」とかはかなり広範な世界の住人から熱い支持を受けるスター級の“善きもの”だ。

でも文学にとって絶対の“善きもの”って無い気がするんだよなあ。私個人の問題か?
あえて言うなら「深さ」・・・。私が好悪の判断基準にするのは「深くて」「高い」ってことだけど。

で、私が最近興味を持っているのが、経済と文学は“善きもの”を共有できるのかなあ、ということ。
「現代の金融システムは、『社会が永遠に成長し続ける』ということを前提にしている」ということを知ってびっくり仰天したのは4年前。今でも半信半疑。ものすごく興味がある。何それ?本気?
だから、やっと話は本に戻るけど、ビジネス書が謳う「幸福」って何?と思って買ったのでした。
まあ、本自体は浅くて軽いというか、世の中の「お金」の仕組みをちょっとナナメから気取った言い回しで切り取ってみる、みたいな頭のいい人の口のうまいコラムって感じであまり面白くなかったんだけど。

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久しぶりに書いたらすっごく長くなってしまいました。ごめんなさい!溜まってたみたい・・・(笑)
もう師走。そろそろ2009年に読んだ本を総括したいなあとも思っております。

アムステルダム 新潮クレストブックス

イアン マキューアン / 新潮社


最終目的地 (新潮クレスト・ブックス)

ピーター キャメロン / 新潮社


月野さんのギター (講談社Birth)

寒竹 泉美 / 講談社


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by saku_2425 | 2009-12-06 21:36 | 本をよむ
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