世界クッキー

f0034543_15381685.jpg
体、言葉、季節、旅、本、日常など、あれこれ。「乳と卵」「ヘヴン」の川上未映子が放つ、魅惑のエッセイ集。

『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』がそれこそすこんと僕の心にクリティカル・ヒット。いつのまにやらハイ・テンション、ハイ・テンション。
較べると本著はメジャーになってからのエッセイ集。どう変わっているかと期待半分不安半分で買ってみましたが、相変わらず冴えた言語感覚を武器としてちょっとガールズトーク的な商業主義っぽさも添加しちゃったりして、なかなかにしたたかな物書きぶりで感心しました。

思えば川上氏は以前から歌手としてメジャーで活動してきたんだものね。自らの表現を「商品として」人に届ける、ということに関しては既に確固たるキャリアがあるわけだ。
個人的には『そらすこん』に較べると物足りない感が否めなかったですが、そもそもあちこちに寄稿したものを集めて一冊に編むというスタイルのエッセイ集である以上、仕方がない。巻末の「初出一覧」を見てみると、文芸誌から新聞、ムック、専門誌、企業の広報誌と実に幅広い媒体に書いていることが分かります。

しかし、気になるのは「不明」ってのが3編もあることだ。掲載先が不明って何だ!?
故人の未発表原稿を発見!でも初出先は不明!ってのなら分かるけど、現役作家だよ。文藝春秋の優秀な編集者をして探せないってことがあるのか?探そうよ。不明のまま出すのやめようよ。
あともうひとつは表紙の紙質だなー。画用紙みたいなこれはすぐに黒ずみ、汚れちゃう紙だから、あまり読み返せないじゃないの。しかも白にするならばもう少し考えてほしかったよなあ。

・・・と出版社に文句を言いつつも、「燃える顔、そして失われたお尻」という一編におなかが痛くなるほど笑ったり、「単語の気持ちが、わかる人」で太宰治を読みたくなったり、「式のお料理」で芥川賞授賞式で彼女が見ていたある一点を知って「何でそこ!」とつっこみたくなったり、面白い本でしたよ。

世界クッキー

川上 未映子 / 文藝春秋


[PR]
by saku_2425 | 2010-01-04 16:27 | 本をよむ
<< 2009年12月に読んだ本 バレエ・メカニック >>