パリ・オペラ座のすべて

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2010年最初の映画鑑賞は「パリ・オペラ座のすべて」でした。

大抵の映画鑑賞はオフィスから歩いて3分のシネコンで済ませ、他所で上映されているものに興味を持っても結局は面倒くささが勝ってDVD待ちになることが多い私ですが、それでも年に数本は「これはどうしてもスクリーンで観たい!」とてくてく出掛けていく作品があります。
前置きが長くなりましたが、ようするに「パリ・オペラ座のすべて」はそういう作品だったのです。

世界最古かつ世界最高峰のバレエ団であるパリ・オペラ座。
154名のダンサーと、彼らを支える1,500名ものスタッフの身分は「国家公務員」なんだそうです。
「パリ・オペラ座のすべて」というタイトル通り、この映画ではオペラ座の隅々まで映し出されていて、稽古場はもちろん、衣装をちくちく縫っているところや(着ぐるみみたいなのつくってた・・・)、食堂や、経営陣がスポンサーの接待企画を練っているところなども全部見ることができます。
さらに、ダンサー達に年金制度を説明してたり、なぜか屋上で蜜蜂を飼っていたり、地下には水が流れていたりするのです(魚まで棲んでた!リアル「オペラ座の怪人」だ)。

ナレーションも音楽もない。説明もストーリーも何もない。登場人物だって誰ひとり紹介されない。
ただオペラ座の日常がみっちりと映し出されるだけというドキュメンタリーです。
だからこそ素晴らしい!何の主張もせず、ただ自然物のようにカメラがそこに在ったんだろう。
だってオペラ座自体が既に芸術作品なのだもの。カメラは鏡となってそれを映し出すだけでいい。
フレデリック・ワイズマン監督という人は今まで知らなかったけど、素晴らしい監督さんですね。

幾世紀も生きてきたフランスの宝、「オペラ座」という有機体こそが主役という映画です
もちろんダンサーあってのオペラ座であるから、バレエシーンは圧巻!稽古も、ゲネプロも凄い。
エトワール達の稽古場風景なんて滅多に見られないし、特にコンテンポラリーの振付師がダンサーに細かな解釈を伝えながら稽古をつけていく過程なんて、それ自体が刺激的な作品だったよ。

芸術に身を捧げている人間というのは、高みに行けば行くほど「自分」がなくなっていくような気がする。研ぎ澄まされた感性としなやかで強靭な肉体をまるごと器として、「降りてくるもの」を受け容れている。自意識など、自我など邪魔なだけ。ダンサー達を見ているとどうもそんな気がしてならないのだった。
そういえば、マイケル・ジャクソンのTHIS IS ITを観たときも同じようなこと感じたな。
ただ、マイケルはエンターテイメントに全てというわけではなく、「アメリカ国民」に身を捧げたという面もあるような。次元が違う話かも知れないけど、うーん、巫女というより生贄っぽいニュアンスが。

話が逸れたけど、そんなこんなで素晴らしい作品でございました。

バレエの知識は皆無に等しい私ですが(ローザンヌ国際バレエコンクールは毎年喰らい付きで観るのだけど、それはたぶんバレエ好きというよりオーディション好き)、一度オペラ座を生で観てみたくなった。行くかフランス?でもブロードウェイにも行きたいんだ!
鑑賞後、めずらしくパンフレットを買おうと思ったのだけど、売店が閉まっていて買えなかった・・・。
でも、寡黙な映画の代わりに公式サイトがけっこう親切に解説してくれているので、映画を鑑賞される際にはサイトを観てから行くとより深く楽しめるかもしれません。オススメです。

■パリ・オペラ座の公式サイトはこちら
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by saku_2425 | 2010-01-07 00:51 | 映画をみる
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