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氷の華

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結婚12年の隆之と恭子は、誰もが羨む夫婦生活を送っていた。ある日、恭子のもとにかかってきた夫の愛人と名乗る女からの電話。そこで告げられた事実が、彼女を殺人へと駆り立てる。罠が罠を呼ぶ、本格ミステリー。

旅行中に読むため、ふだんは読まないミステリーを買ったのでメモとして感想を。
米倉涼子さん主演でドラマ化された作品で、たまたまちょろっとドラマを観ました。
でも初めのほうだけだったので、続きがどうなったのか気になって、原作を読んでみました。

ドラマの俳優さん達が頭に残っていたので、キャラクターを組み立てることができずに最初はかなり苦労しましたが、何とか読了しました。
しかし、筋書きが分かっているミステリーを読むのはつまらないね・・・。
ドラマを見ずに読むんだった、と後悔しました。まあ、ドラマ化されてなかったら読まなかったかも知れないけど。

文章もしっかり、設定も磐石、人物描写も王道です。
でも勢いや斬新さ、この作家ならではという書き方の癖のようなものは見当たらない。
推理小説をいっぱい読んで私も書いてみました、というような優等生的小説(小説教室的小説というか)だなあ、とまことに勝手な感想を抱きつつ読み進めていましたが、作者が還暦を過ぎた女性と知って妙に納得です。上品で破綻のない語り口に、丁寧な描写、常識的な価値観。

ミステリーをあまり読まないのでこの感想が的を射ているかどうかは分かりませんが、ミステリーに限らず小説全般に対する個人的好みから言えば、もっと「破れた」作品のほうが好きだ。
この作家でなければ書けない文章、持てない視線、毒や勢いや過剰な美意識など、そんな小説のほうに惹かれます。
この小説はそういう意味では、(私にとっては)平坦でした。
でもだからこそ、ドラマになったんだろうと思います。脚本、みたいなんだよね。

ドラマを未見の人なら面白く読めると思います。

氷の華 (幻冬舎文庫 あ 31-1)
天野 節子 / / 幻冬舎
ISBN : 4344411552

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by saku_2425 | 2008-09-28 11:38 | 本をよむ
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