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小沢健二 コンサートツアー“ひふみよ”

以下の記述は全て私の記憶(頼りない)に基づいています。ご本人の台詞、セットリスト等に間違いがあるかも知れませんが、どうぞご寛恕ください。雰囲気だけ掴んでくだされば幸いです!

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2010年6月25日(金)、小沢健二コンサートツアー“ひふみよ”の最終日に行ってきました。
会場は福岡サンパレス。開場は18時30分だったけど、18時に行くと既に雨の中たくさんの人々が列をつくっていて、色とりどりの傘を見ながら車の中で本を読んで待つ(ものぐさだから・笑)。

やがて開場したのでホールに入ると、Tシャツと書籍が販売されていてここにも長い列。
東京でのコンサートに行った友人からグレーのTシャツと書籍を勧められていたのだけど、さすが最終日で書籍は完売、Tシャツもサイズがない。せっかくなので鮮やかなブルーのいちばん大きなサイズを買ってみました。
まだ時間があったので、ホットコーヒーとサンドウィッチを食べながら客層を観察。
20代~30代が中心で、男性:女性が3:7くらい?着物姿の女性もちらほら目につきました。

2階の指定席に着き、開始時刻の19時を数分過ぎたとき、照明が一斉に落ちて完璧な暗闇に。
闇の中から小沢さんの声がしてきて場内にきゃあっという歓声が沸き起こり、また静かになる。
2003年に起きたニューヨークの大停電を小沢さんが語る。機能が麻痺した大都会で人々が味わった非日常。ろうそくを灯し、電池式ラジカセで聴いた音楽は、いつもよりもっと鮮やかだったと。
暗闇の中で聴いた音を人は忘れない、やがて日常に戻ってもその記憶は消えることはないと。

そう、このコンサートはMCの代わりにところどころに小沢さんの朗読が挟まれました。
自転車に乗るときだけ日本人のアジアの血が騒ぐとか、笑いはどこの国でも「自分たちにしか分からない」という笑いがいちばん支持されるとか、明るく落ち着いた声のていねいな朗読でした。

完全な暗闇の中で歌われた1曲目は「流星ビバップ」。
CDで聴いてたより深くて太い声、よく伸びて朗々と響く語尾、少し鼻にかかった甘い歌いかた。
そして照明がつき、ステージに並んだミュージシャンの中央にギターを抱いたオザケンを認め、会場が悲鳴のような大歓声に包まれました。そして私は「あ、本当に実在した」と思ってました(笑)

オザケンの第一声。「ご、ごぶさたしてます」←噛んだ(笑)

『LIFE』時のメンバーが揃っているということで、本当にCDそのままの演奏でとっても不思議でした。懐かしいという感覚はなかったのだけど(以前に聴いたことがないから)、「うわー、生だ・・・」みたいな素朴な感動がひしひしと。ピアノの間とかギターのリフとかトランペットの音色とかそっくりそのままなんだねえ、と。
イヤフォンで、部屋の中で、車の中でひそやかに味わっていた「私だけの音楽」がこうして大音量で再現されている不思議!それをたくさんの人々が身体を揺らして楽しんでいる不思議!

小沢さんは何度もステージ上のミュージシャンたちを愛しそうに見つめながら歌ってました。
穏やかで落ち着いていて、肉声のMCではよく噛みながらも(笑)、感謝の言葉ばっかり述べてた。
よく言われていた「気まぐれで才気あふれる王子様」というイメージはなくて、ひとりのストイックな音楽家という印象でした。周囲をよく見ていて、ひとつひとつの言葉を選びながら慎重に話していた。
ほっそりと小柄なのに声はよく出ていて、時折ソロで聞こえるギターはハッとするほど鋭くて、ダンスはチャーミングで(42歳だろ・・・)、すごいなあ、すごい人だと思いました。

ヒット曲「ラブリー」が演奏されたとき、歌詞を代えて観客も合唱したのだけど、そのとき小沢さんからレクチャーされた歌詞のひとつに「完璧な絵に似た」という言葉がありました。「lovery, lovery day, 完璧な絵に似た」と歌うのです。
ああ、この言葉は私がオザケンの世界に対して抱いている気持ちを表してるかもしれない、とひどく心を打たれる。彼が歌うような恋があって、彼が歌うような喜びがある、完璧な絵に似た小沢健二の世界。「完璧な絵」というものが実在すると信じさせてくれるような小沢健二の言葉。

今回、新曲として歌われたのは「いちごが染まる」「シッカショ節」「時間軸を曲げて」の3曲でした。
どれも個性的でのびやかでとても好きでした。「シッカショ節」は日本の民謡をベースにしたかっこいいアレンジで、「は~っ」と合いの手を入れるときの小沢さんの声がすごくセクシーだと思った(笑)
ちなみにステージ上にはどーんと提灯が降りてきたのですが、スタッフさんのサプライズだったらしくて小沢さんはひどく驚いてました。そして「もう一回やれってこと?」と再度演奏してくれました。
アルバム出してほしいなあ。より豊かな音楽性が詰め込まれた魅力的なアルバムになるよ。

「今夜はブギーバック」のとき、サプライズゲストとしてスチャダラパーの3人が飛び出してきたのですが、何に驚いたかって、会場の沸き起こった大歓声と同時に足元がぐらぐらと揺れたこと!
いやあ、賑やかでかっこよくて私もおおいに歌って踊って気持ちよかったのですが、揺れたよ・・・。ちなみに私の前の席の女性が忘我の境地でずうっと踊りまくっていたのですが、そのくねくねとした踊り方が篠原ともえに似すぎていた。そして隣の男性はヘッドバンキングしていた。いいけど。私もたぶん変だったし。

小沢さんは曲の合間にもゆっくり語ってくれて、楽しませてくれて、気づけば3時間半という長丁場。
絶対に泣く!と思っていたのだけど、これが意外なことに、泣かなかったのだなあ~。
おそらく「また彼の新しい音楽に出会えるだろう」という展望が見えたからでしょう。何らかの告知があったわけではないけれど、少なくとも小沢さんは動き出しているような、そんな気がしました。
彼の物語はまだまだ続く。メッセージはまだまだ届く。そんな希望に満ちた喜びの時間でした。

いちごが染まるとあなたは喜ぶ/わざわざ見にくる/頬に笑みをたたえて(「いちごが染まる」より)

また見にいこう。頬に笑みをたたえて。

セットリスト(※朗読は省く・・・そして記憶に頼る・笑)

01 流星ビバップ
02 ぼくらが旅に出る理由
03 天使たちのシーン
04 いちごが染まる<新曲>
05 ローラースケート・パーク~
   東京恋愛専科・または恋は言ってみりゃボディーブロー(Remix)
06 ラブリー(みんなで歌詞を練習)
07 カローラⅡにのって(オリエンタルver.)
08 痛快ウキウキ通り
09 天気読み
10 戦場のボーイズライフ
11 強い気持ち・強い愛
12 今夜はブギー・バック
13 夢が夢なら
14 麝香
15 シッカショ節<新曲>
16 さよならなんて云えないよ~メンバー紹介
17 ドアをノックするのは誰だ?
18 ある光(弾き語りでサビをワンフレーズのみ)
19 時間軸を曲げて<新曲>
20 ラブリー
21 流星ビバップ

アンコール
22 いちょう並木のセレナーデ
23 愛し愛されて生きるのさ
24 いちごが染まる<新曲>
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by saku_2425 | 2010-06-27 23:56 | 音楽をきく

音楽寅さん

いろいろ書きたいことがあったのですが、とりあえずこれを書きとめる!

先ほどテレビをつけっぱなしにしていたら(私は月曜10時の『しゃべくり007』がとても好きで、これを観ると幸せな気持ちになるので、一週間のうちこの時間帯だけはテレビをつけています)、サザンオールスターズの桑田圭祐さんが何やら歌っていました。
特にファンというわけでもないので漫然と聴き流していましたが、何やら歌詞がひっかかる。
「汚れつちまった悲しみに・・・」?え、中也?画面に近づいてみてびっくり。
どうやら、有名な日本の文学作品に桑田さんが曲をつけて歌っているらしいのです。

中原中也『汚れつちまった悲しみに・・・』、太宰治『人間失格』、石川啄木『一握の砂』、与謝野晶子『みだれ髪』、夏目漱石『吾輩は猫である』、樋口一葉『たけくらべ』、小林多喜二『蟹工船』、高村光太郎『智恵子抄』、芥川龍之介『蜘蛛の糸』、その他諸々・・・。

何に驚いたって、桑田さんがまるで自分の歌のように易々と歌っているところ。
「ブンガクに曲をつけました」的な力みや不自然さが皆無!古語だろうが短歌だろうが関係なし!
「言葉であればどんな言語だろうが歌になるんだよ」とでもいうような堂々たる歌いっぷりでした。

『人間失格』はダークなロックでかすかな狂気が感じられ、葉蔵の叫びが聴こえてくるみたい。
『みだれ髪』は艶めかしく美しく切なく、やわらかく、晶子の恋情と熱情が伝わってくるよう。
『智恵子抄』は、「智恵子」「智恵子」という呼びかけがやけに叙情的でかつ軽薄。
『たけくらべ』は「ああ厭々、大人になるは厭な事」という美登里の駄々がコケティッシュに表現されてました。

呆気にとられて全部じっくり聴いてしまいました。桑田佳祐って・・・ものすごい人なんだね。
どうしてこの人が日本中の人に敬愛されているのか、どうしてカラオケでサザンを熱唱する男性が100%存在するのか、初めて分かりました。ああ、天才なんだ、と。本当にびっくり、びっくりよ。

どうやら今日披露された曲は全て書き下ろしらしい。CDにしてくれないかな~。買うのに。
いや、あんまりびっくりしたので書きとめてしまいましたよ。
『みだれ髪』をカラオケで好きな人に歌ってみたいな。これなら落とせそうだよ!(笑)
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by saku_2425 | 2009-08-03 23:51 | 音楽をきく

ガーシュウィンの夕べ。

今日は仕事帰りに、ピアノリサイタルを聴きに行ってきました。
入場は無料とのことで、昨日、猫ちゃんに整理券をもらっていたのです。
会場は、会社からバスで10分のコンサートホール。こんなとき都会はいいなあと思う(笑)

主催は在福岡米国領事館と福岡アメリカン・センター。
演奏者はアメリカのピアニスト、グスタボ・ロメロさん。
今年生誕110周年を迎えたガーシュウィンを中心としたリサイタルでした。

活発で明朗ないい演奏だったのですが、ええと、疲れがあったのか、寝てました・・・。ごめんなさーい。だって、ガーシュウィンってメロディーもテンポも変幻自在で奔放でさぁ。
ぼんやり聴いていると、何だか宇宙にポカンと投げ出されたような気になるのだよ。
かの有名な「ラプソディー・イン・ブルー」でさえ寝ていた私。地元の高校の吹奏楽部と共演してくれたのに!賑やかだったのに!ごめんなさい、ガーシュウィン。嫌いではないの。

ちなみに、途中でバッハを一曲やってくれたのですが、これはバッチリ目覚めました。
ああ、いいね、堂々と繰り返される主題、決して揺るがないテンポ、重厚にして美しい旋律、安心して全身でもたれかかることができる壮大な建築物のような感じ。
うん、秩序っていいわ!バロック音楽万歳(笑)

でも、とても気持ちのいい2時間でした。こんなリサイタル、無料でいいのかなあ~。
たまにはクラシックもいいですね(寝てたけど)。
おかげさまで疲れもとれたので(寝てたから)、明日からまた頑張るぞう。

f0034543_052431.gifお分かりだと思うけど、音楽にはまるで疎いです
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by saku_2425 | 2008-12-09 00:59 | 音楽をきく

福岡再公演!ASKA SYMPHONIC CONCERT TOUR 2008 "SCENE"

さ~、行ってきましたよ。ASKAさんの再公演!(再公演に至る顛末はこちら

前回のチケットの半券を見せれば入場できるシステム。席も前回と同じです。
どのくらいの人が来るかな~と見渡していましたが、けっこう埋まってた感じかな。
とにもかくにも、「今日は声出るかな?」とドキドキしながら開演を待っていました。

オープニングは前回と同じBirth。(ちなみにこの後も、アンコールに至るまで曲目・曲順はほぼ同じでした。あ、HEARTがなかったな。あと、蘇州夜曲のアレンジが違ってました)
続いてのGirlまでは、不安定なメロディーラインの曲ということもあり、本当に歌声が万全なのかが判然としなくて胸にはまだ一抹の不安が陣取っていました。

やがてMC。
どんな第一声かしら、と思っていると、両手を合わせて深々と何度もお辞儀(笑)
客席の温かい笑い声と、ASKAさんのリラックスした話しぶりに、「ああ、本当に今日は調子がいいみたいだな」とようやく安心して肩の力が抜けました。

「この間のステージほど孤独を感じたことはありません」
「オケがどんどん良くなって、素晴らしい音を出すのと比例して、自分が中央でどんどんちっちゃくなっていっちゃって、ああー、俺はひとりぼっちだ!と」
「歌もしゃべりも、何言ってるか分かんなかったでしょ?寝る人さえいなかったという・・・緊張感で。いやいや。いい経験・・・と言っちゃいけませんね。ハイ」

あんな経験を、すでに笑って話せるところが30年間プロとしてやってきてる人の凄み。
「今日は最後まで楽しんでいってください」との言葉通り、後はリラックスしてたっぷりと堪能させていただきました。
アレンジャー(今日はピアノ)の澤近泰輔さんとの即興作曲術なども披露してくれました。
澤近さんのピアノとASKAさんのハミングでどんどん即興でメロディーを繋げていくというもので、ジャズのような作曲術だなーといたく感心。いいもの見ちゃった★
こういう余興的なものが皆無だった前回・・・(笑)

本調子のASKAのヴォーカルは、
時に岩を砕くすさまじい激流のようで、
時に大草原を吹き渡る風のようで、
時にどこまでも伸びていく大きな樹のようで、
目を閉じて声を聞いているといろんな映像が見えてくる。
どうか喉を大切に、身体を大切に、(そしてたぶん身体を思いっきり反らして高音を出すので、背筋も大切に・・・笑)できるだけ長くたくさんの歌を歌い続けて欲しいと思います。

ところで、今回のオーケストラは、前回の九州交響楽団が都合がつかずに大阪シンフォニカー交響楽団に変更されていたわけですが、前回よりも素晴らしかったような・・・。
厚みがあって伸びやかで、ASKAの声が入っていないときでもうっとりと聴けました。
いや、これは九響が悪いというわけでは決してない、と思う。
おそらく、大阪シンフォニカー交響楽団さんが既に3度目のステージだったからでしょう。
大阪からわざわざ・・・ありがとうございました(笑)

そんなわけで、無事に終了したASKAの再公演。
既にSYMPHONIC CONCERT TOURの全行程は終えていたASKAさんですが、
「あとひとつ、あとひとつあるぞ」と心から打ち上げることはできなかったようです。
それは客も同じこと。だから今日は、お互いに残っていた宿題を、力を合わせて片付けたようなすがすがしい達成感がありました。満足です。

「ASKAー、ありがとうー!」という歓声が印象的だった今日のライブ(前回はなかった)。
ASKAさん、そして再度足を運んだファンの皆さんも、まとめてお疲れさまでした!

f0034543_052431.gifこれで思い残すことはない
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by saku_2425 | 2008-11-23 23:11 | 音楽をきく

ASKA再演決定!

朝イチで一緒に行ったにゃこちゃんからメールがありました(ベッドで見た・・・笑)。
10月5日(日)にマリンメッセ福岡で開催された分の再公演の日程が決定しました!

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ASKA SYMPHONIC CONCERT TOUR 2008 “SCENE”(福岡再公演)
オーケストラ:大阪シンフォニカー交響楽団

日時■11月23日(日・祝) open:16:00/start:17:00
会場■マリンメッセ福岡
尚、演奏いたしますオーケストラは、九州交響楽団から大阪シンフォニカー交響楽団に変更になります。ご了承下さい。
ご入場につきましては、10/5公演分のチケットの半券を入り口でご呈示下さい。チケット半券に記載されているお座席にてご覧頂けます。
チケット半券をお持ちでない方のご入場は一切出来ません。チケット半券を忘れないようにご来場下さい。

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うわわ、3連休の中日!よかった~、この前後の週は予定が入ってるのだ。
「九響の都合があるから、年内はムリじゃない?」とにゃこちゃんと話していたのですが、オケを変更してきましたか。そうですか。大阪からわざわざ・・・(お金かかっただろうな・・・)。

でも行ける日程なのでとても嬉しいです。がっつり聴いてきます。
前回コメントくださった“ともち”さん、11/23にマリンメッセ福岡でお会いしましょう!

※詳細はBEA-NETでどうぞ。

f0034543_07934.gifたくさんの人が再公演に来られたらいいなあ
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by saku_2425 | 2008-10-15 09:12 | 音楽をきく

ASKA SYMPHONIC CONCERT TOUR 2008 "SCENE"

雨の日曜日、マリンメッセ福岡。
ASKAのソロツアーである「ASKA SYMPHONIC CONCERT TOUR 2008 "SCENE"」に行ってきました。
今日のライブはちょっと衝撃的だったので、長めに書きたいと思います。

各地の地元交響楽団をバックにASKAが歌い上げるというこのコンサートツアー。
ASKAの素晴らしい歌声に存分に酔いしれることを期待して集まった人々で会場は満員。
定刻から15分遅れてASKAが登場し、1曲めの「Birth」を歌い始めた時点で、早くも違和感が生じました。

(・・・あれ?ASKAの声がオケに負けている・・・)

音響が悪いのか、それとも始まったばかりで声が出てないだけなのかとも思ったけれど、2曲目「Girl」、3曲目「迷宮のReplicant」と続くうちにますます不安は強くなります。
高音が出ない。低音も割れる。ASKAの歌唱の特長である強弱がまるでなく、やけに平坦。

(これは、いつもと違う・・・)

会場のお客さんにも次第にかすかなざわめきが広まりだしました。

そんな状態でMCに入る。ASKA自身がいちばん焦っていたでしょうに、彼の第一声は、
「うーん、おなかが減っているのかな」。
これで観客がどっと笑い、緊張しかけていた会場の空気がほっと緩みました。
並の歌手なら、ここで「今日、ちょっと調子が悪くて、声が出ないんだよ、ごめんねー」とか言っちゃうじゃないかな。少なくとも、私が歌手だったら絶対に言っちゃいそう。謝って、不調を認めて訴えて、「頑張ってー」「大丈夫ー」とかファンから言われたくなっちゃいそう。

それからもステージは続きましたが、ASKAの声の異状はだんだん誤魔化しようがないほど明らかになっていきました。
バックコーラスもいない、派手な演出もない、オケを背負ってたったひとりで歌うASKAの声が出ない。何とか絞り出そうとするけれど、かすれ声さえ出ない場面も出てきました。
そうなると、ASKAが支配しきれない会場の集中力がだんだん散漫になっていく。
立ち歩く人も出始めて、中盤あたりでは「これは失敗だ」という空気が蔓延していました。

私も、(これは聴いてるほうがつらいな~、ASKAさんも途中でやめちゃうかもしれないな、なんといっても、自分の歌が自分で許せないんじゃないかな)と思いつつ聴いていました。
普段が素晴らしいだけに、余計に痛々しさが増す。残酷だけどそれが正直なところ。
初めのうちは、歌うASKAの表情をアップで捉えていたカメラも徐々に引き気味になっていって、ASKAも間奏中は背中を向けてドリンクを喉に流し込み続けていました。

それでもASKAはやめませんでした。マイクを握りしめ、思いっきり背を反らして何とか声を絞り出そうとし、オーケストラに飲み込まれながらもひとりで歌い続けました。
「僕はこの瞳で嘘をつく」「HEART」では、高音のサビが完全に空白になってしまった。
ASKAはもはやドリンクを左手に握りしめたまま、それでも力を尽くして歌を続けました。

ASKAの気迫に押されるように、ざわついていた会場はいつしか静まり返っていました。
私も、気づけばASKAのぎりぎりの声を息を飲んで追っていて、完全に集中していました。
「月が近づけば少しはましだろう」を気力を振り絞るようにして歌うASKA。
ひとつASKAがサビを歌い終えるたびに会場から静かな拍手が湧く。もはや「絶唱」というに近いASKAの歌声。その恐ろしいほどの気迫が完全に会場を支配していました。

続けて「けれど空は青」を歌いきると、「ASKAー」「アスカさーん」と、励ましとも悲鳴ともつかない歓声が一斉に降り注ぎました。男性の声も多かったなあ。
そんななか、ASKAはじっと頭を下げていましたが、やがてゆっくりとマイクを掴みました。

「えー、この期に及んでまだ正面から受け止めようか、笑いでかわそうか悩んでるわけですが(笑)もう、このままいかせて」

ラストは「PLEASE」。この選曲は意外だったけど、一音一音かみしめるように歌うASKAさんに不覚にも涙・・・。(「クララが立った!」の声が脳内でリフレイン・・・)
できることなら万全の歌声で聴きたかったけど、最後まで「調子が悪い」と口にせず、一度もステージを空けることなくオーケストラを背負い続けた姿勢に心から拍手を贈りました。
だから、深々と頭を下げてステージを後にしたASKAが、アンコールの拍手に応えて再度登場したときは、「いや、もうこれ以上無理して歌わなくていいッス」と本気で思いました。

拍手が鳴り止むのを待って、完全に潰れたかすれ声で話しかけるASKA。

「えー、こんなに声の調子がいい日は生まれて初めてでした」
どっと笑う観客。惜しみなく送られるお疲れさまの拍手。
「歌いながら、しみじみと、ステージは孤独だ、誰も助けてくれないと思った」
笑いながらも、本当にそうだろうなあとしみじみ頷きました。
「今日、初めて来てくれた人もいるよね。ASKAはこんなもんだと思われると悔しいね」
おどけた口調だったけど、本心だろうと心から思いました。

そして、ASKAが言いました。
「みんな、今日のチケット捨てないでいて」
冗談と思い笑う人、え?と、意味をはかりかねて首をかしげる人。ざわめく会場。

「もう一回、やらせて」

えー!?

まさかの再演宣言!しかも、まがりなりにも最後までやり切った後での再演宣言!!
どよめきから一気に歓声へと変わる会場。
「九響さんの予定もあるからまだ日程は分からないけど、もう一度、ぜひ聴いて」
「あ、でも貯金ないからあと一回ね~(笑)」
ASKAのプロとしての29年間の重み、ボーカリストとしての強烈な自負を、笑いの中に感じとった瞬間でした。すごい、と思った。いや、鳥肌が立ちました、本当に。

ちなみにその後、CHAGE&ASKAは来年30周年になるけどツアーはしないこと、CHAGEとの音楽の方向性の違いから、今後のチャゲアスの予定は全くの白紙であることなどが告げられ、最後の最後はゆっくりとしたアカペラで「君が愛を語れ」を歌いきって、終了。
幕が下りた後、主催者から正式に、改めて再演を行うこと、今日のチケットが引換券の代わりとなるので大事に取っておいてほしい、というアナウンスがあったのでした。

最初に予想していた感動とはかなり違ったけど、かなり感動的なライブでした。
ライブの醍醐味ってこれだよな・・・としみじみ。この感動、プライスレス★(←ばか)。
今度は間違いなく絶好調のASKAさんの歌声が聴けるでしょう。再演が楽しみです!

-今日の曲目はこちら-

1.Birth
2.Girl
3.迷宮のReplicant
4.はじまりはいつも雨
5.good time
6.抱き合いし恋人
7.背中で聞こえるユーモレスク
8.帰宅
9.next door
10.蘇州夜曲
11.C-46
12.心に花の咲くほうへ
13.UNI-VERSE
14.僕はこの瞳で嘘をつく
15.Heart
16.月が近づけば少しはましだろう
17.けれど空は青
18.PLEASE
(アンコール)
1.伝わりますか
2.君が愛を語れ

※ごめんなさい!アンコールの1曲目、「伝わりますか」でした。いつも「今でも」と混同しちゃう・・・。

f0034543_052431.gif←長い。長すぎる。だって感動したんだもん
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by saku_2425 | 2008-10-06 01:54 | 音楽をきく

最高の褒め言葉

今日、会社でとつぜん「サクさん!サクさん!」と、同僚がターッと走ってきました。

「宇多田ヒカルの新しいアルバム、聴きましたかっ?」
「うん、聴いたよー」
「ぼくはくま、ってありますよね」
「うん、あったねー」
「私、あれを聴いて、これはサクさんだ!って思ったんです~!」

くま、が?

「しゃべれないけど歌えるよ♪歩けないけど踊れるよ♪って、ああ、サクさんのイメージにぴったりだって思って、いっしょに聴いてた彼氏に「こういう人が会社にいるんだよ」って言ったんです」
「そ、そう?」
「サクさん、前世はチョコレートだったんですね」

嬉しそうににこにこしている同僚を見ていたら、私も何だか嬉しくなってきて、
ああ、これはもしかして最高の褒め言葉かも知れないな~と思いました。
何というか、人として。

せっかくなので、コピー機の前で「歩けないけど踊れるよ♪」とちょっと踊りました。
心が和みました。楽しかったです。

ぼくはくま(DVD付)
宇多田ヒカル / / EMIミュージック・ジャパン
ISBN : B000JVSXNG
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by saku_2425 | 2008-05-07 23:28 | 音楽をきく

最近の(ミニミニ)音楽事情

MP3が動かない・・・。しょぼん。ソニータイマーか?(笑)

音楽にはさほど執着はないと思ってたけど、いざ聴けなくなると寂しいもんです。
残業中とか、車の中とか、お昼ごはんのときとか毎日のように聴いてたからな~。
イヤホンで聴くと音楽に対する集中度が高まる気がする。「個人的な体験」という感じで。
修理してもらおうっと。高いようだったら、いい機会だからipodに買い替えよう。

そんな私の最近の音楽事情。
宇多田ヒカルの新譜を買おうかどうしようか迷っていたら、友人が貸してくれました。
でもPCで一度聴いただけなので、自分が気に入ったかどうか分からない。
(宇多田ヒカルの曲は、1度目より2度目、2度目より3度目に聴くほうが良く聞こえると思う・・・。理解が深まるというか。もちろん最初で「これ好き!」というのもありますが、概して)
早くMP3で聴き倒したい。

あと、最近の衝撃体験。
ひまつぶしに遊んでいたYouTubeにて、何気なく見つけたASKAの動画。
http://jp.youtube.com/watch?v=2ZOUSG2DI48

これを聴いて、何とワタクシ、号泣しました。おおぅ。
もともと好きな歌ですが、今まで泣いたことはなかったですねえ。
精神的に弱っていたのか、歌唱があまりに素晴らしかったからか。両方か?
「月が近づけば少しはましだろう」・・・。「大殺界が終われば少しはましだろう」・・・。

久しぶりの音楽ネタでした。じゃあ、仕事に戻ります。
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by saku_2425 | 2008-03-27 12:40 | 音楽をきく

2007年、印象に残った音楽ベスト3!

ここまで来たら(?)音楽も総括しちゃいましょう。

といっても音楽は簡単。
2007年は際立って印象的な出会いがあったからです。
今年、1年を通して私を励まし、救ってくれた2組のアーティストはこちら。じゃん!

1、RADWIMPS
2、小谷美紗子

RADWIMPSは、ラジオから偶然流れてきた『ふたりごと』にひとめ(ひと耳?)惚れ。
元々ファンだった友人からアルバムを借りまくり、その作詞センスに改めて感嘆、驚嘆、感動。
今では『RADWIMPS4~おかずのごはん』が私の中の殿堂入りを果たしています。

小谷美紗子は10年ぶりの再会でした。
たまたま告知を見かけてふらっと行ったライブで、その素晴らしさに一気に小谷熱が再燃。
アルバムを即座に買い集め、そのピアノに、詞に、歌声にしびれまくりました。

この2つの出会いだけで、音楽の持つ力をがっつり認識できました。ありがとう!

さて、せっかくのベスト3なのであとひとり・・・と考えていましたら、あったあった。この曲。

3、安室奈美恵

彼女の「Baby Don't cry」にもジャストタイミングで救われました。ありがとうございました。
来年は宇多田ヒカルのアルバムも出るそうですね。楽しみです。
音楽ってすごいなあ。

RADWIMPS4~おかずのごはん~
RADWIMPS / / 東芝EMI
Quarternote 2nd-THE BEST OF ODANI MISAKO 1996-2003-
小谷美紗子 / / ユニバーサルJ
Baby Don't Cry
安室奈美恵 / / エイベックス・マーケティング
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by saku_2425 | 2007-12-30 04:40 | 音楽をきく

イ・ムジチ合奏団

取引先からチケットを頂いたので、「イ・ムジチ合奏団」コンサートに行ってきました。
「こういうの好きでしょ、行く?」と社長秘書からお誘いを受け、「行く!」と即答したものの、
「で、イ・ムジチって韓国の人?」と聞くくらいの無知っぷり。てへ。

「イ・ムジチ合奏団」とは、12人から成るイタリアの弦楽合奏団でした。
何でも、1952年に結成されて以来、12人の友情と平和主義をモットーに、指揮者をおかず、演奏法や解釈の問題には合議制を採用しつづけているらしい(パンフレットより)。

「イ・ムジチのヴィヴァルディは最高だ。絶対にCDが欲しくなるよ」と社長。
そう言われると否が上にも期待が高まります。幕が開くまでの時間って幸福だよね。

・・・しかし、その後の2時間は幸福を超えて至福でしたなあ。
何て澄んだ音。軽やかであたたかくて、心に寄り添うような弦楽のアンサンブル!
ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスの12人が並んで腰掛け、まるで音で会話しているかのような正確で繊細なハーモニーを会場に響かせるのです。
私のクラシックコンサート経験と言うとオーケストラがほとんどで、肌を通して身体の内側に響いてくるような圧倒的な音の波にさらわれていく快感が主でした。
でも、マイクも使わないイ・ムジチの12の弦の調べは、まるで春の日光のような存在感。
思わず身を乗り出して、息をつめて耳を澄ませたくなるほどに繊細で魅力的!

何より、演奏している12人が楽しくて仕方ない感じなのです。
私の斜め前にいらした小柄なおばあさまは、リズムに合わせてうなずいたり肩をゆすったりして心から演奏を楽しんでいる様子でした。

アンコールでは「赤とんぼ」を演奏してくれました。
こういうコンサートでありがちな、演奏地におもねるようなやっつけ演奏ではまったくなくて、
完全にイ・ムジチ流にアレンジされた堂々たる「赤とんぼ」。
その叙情、メロディーの美しさ、やわらかな音色が観客を包み込み、すすり泣きが洩れていた。
・・・そして私たちも泣く、みたいな。

CDを買おう!と思ったら、何と、招待してくださった方がプレゼントしてくださいました。
う、嬉しい。聴こう。心の奥がさわさわと震えるような演奏なのですよ。
その後、社長を含めた4人でお食事して、感動をわけあい、すっかり満たされて帰ってきました。

贅沢な経験でした。いい一週間の終わりとなりました。多謝多謝!
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by saku_2425 | 2007-10-20 02:44 | 音楽をきく